春分の日の前日のお稽古は朝から雪が降りました。東京はあまり雪の降る気候ではありません。ひと冬に一回か二回でしょうか。その日がちょうどお稽古日に当たるのはとても珍しいことです。

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 この日のお稽古は十畳の茶室の方を釣釜にしました。天井のフックに鎖を掛けてその先に弦を付けた釜を吊るしてあります。いつもなら炉の真ん中にどっしりと座っている釜がゆらりゆらりと揺れる、これを春風にそよぐ姿と見る早春の趣向です。

 昔の方は面白いことを考えたものですね。実際にお点前をしてみると釜の揺れが思いの外気になったのではないかと思います。

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 八畳の茶室では風炉先屏風の位置を変えて台目のお点前をお稽古しました。茶室には台目畳と言って長さが普通の畳の四分の三という特殊なサイズの畳が使われていることがあります。 そうした茶室での点前にはいくつかの約束事がありますので、それをやってみました。

 こちらも滅多にやらないお稽古です。現代のお茶室は多くの場合八畳以上の広いお部屋であることが多く、台目畳を使っているような狭い茶室を見る機会はそれほど多くはないでしょう。それでも実際に古い時代に造られたお茶室を見てみると、台目畳を使っている茶室がよくあります。

 たとえば裏千家の今日庵、表千家の不審庵、武者小路千家の官休庵、藪内流の燕庵などの著名なお茶室はいずれも台目畳が使われています。せっかく台目のお稽古をしたのですから、皆様にも古くからある茶室の間取りや炉の切り方について、少しずつ学んでいっていただければと思います。

 さて、最後はお庭の様子をご紹介しましょう。まずはお庭の浮御堂から見た赤鳥庵です。

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  お庭の椿にも雪が積もっていました。

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 一番雪の強かった時間帯はこんな具合でした。

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 このまま積もるかと思われた雪もやがて雨になり、午後にはその雨も上がって日が差してきました。夕方には積もった雪が跡形もなく消えてしまったのには驚きました。

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 次回の稽古は四月九日としばらく間があきます。四月から目白庭園の管理会社が変わるため、三月末から四月始めの数日間は引き継ぎ期間として赤鳥庵が使えなくなるという事情があるためです。

 ちょうど桜の咲く頃にお稽古ができないのはとても残念ですが、どうかご了承ください。