12月18日は特別稽古として花月之式をいたしました。流水会の稽古は通常ですと午前中からですが、この日は午後1時開始です。冬至も近い今の時期、午後1時と言っても太陽は低く影は長く、どこかうら寂しい感じがありますね。

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 写真の茶花は寒菊です。十二月になると黄色の小さな花を咲かせる小菊の一種で、霜にあって葉が赤くなった姿が好まれます。残念ながらこの日の葉はまだ青々としていました。

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 さて、この日のお稽古科目である花月之式は七事式と呼ばれる集団稽古のうちの一つです。五人一組で行い、折据と呼ばれる小箱から一枚ずつ札を引いて花と書かれた札が当たればお点前、月と書かれた札が当たればお茶をいただくというのが基本です。

 この日の参加者はちょうど五名、うまく人数が揃いました。

 ところで、私たちの学ぶ裏千家流茶道には花月之式には十種類以上のバリエーションがあります。この日はその一つ、濃茶付花月をまずお稽古することにしました。

 濃茶付き花月は文字通り「濃茶」の付いた花月で、全員で濃茶を頓服した後、薄茶三服の花月になります。席入後に点前の準備が整うと、まず全員で折据を回して、濃茶を練る人(月)と最初の薄茶の亭主(初花)を決めます。

 月は点前座に上がって濃茶平点前をするのですが、炉の場合は濃茶を練って出したら中じまいをしてから仮座に移動したり、亭主から茶碗の拝見を請われたり、そのあとまた点前座に戻って中じまいを解いたりとなかなかの忙しさです。

 濃茶の後は薄茶三服ですが、初花は棗を清める、二の花は茶入を棚に載せて棗を茶入があった場所に置き直す、三の花は仕舞つけと拝見物を出す、とそれぞれにお仕事があります。

 この日のお稽古では点前座に座られた方はそれぞれに上手く役割をこなしておられましたが、客になった時の所作を忘れてしまうことがよくありました。拝見ものを取り込んだり、返したりするタイミング、いつ折据を返すのかといったことを一つ一つ確実に覚えていくことが課題です。

 二回目は平花月をしましたが、こちらの方は濃茶付きに比べるとやることが少ないせいかスムーズに進行しました。が、亭主が仕舞つけを始めてしばらくしてから、座がわりをしていなかったことに気付きました。慣れてきた頃に失敗する、というのはよくあることです。

 それでも皆様足運びがかなり上手くなって、私が逐一ご注意しなくても良くなってきたのは格段の進歩と言えるでしょう。

 この日は三名が早くお帰りでしたので花月の稽古はここまで。残ったお二人からは薄茶平点前を半東を付けてお稽古したいとお申し出がありました。先日伺った青年部さんのお茶会で流水会のMさんがお点前、Kさんが席主兼半東を務められたのが刺激になったのでしょうか。

 お茶会に出るのも、客としてお茶会に参加するのもどちらも貴重な経験です。様々な経験を積み重ねていくところに茶人としての成長があり、また楽しみや喜びがあります。流水会の皆様方にはぜひそうした「点前稽古以外の経験」を積む機会をこれからもご提供していきたいと考えております。

 さて、最後に恒例の庭園の様子も少しだけご紹介します。 

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 庭園に建つ石塔です。十三層になっているので十三重の塔と呼ばれています。日本庭園によく見られる形ですが、ルーツはブッダの遺骨を収めた塔が十三重塔であったことに依るらしいです。たしかにこの塔もよく見ると台座のところに仏様が彫られていますね。

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 こちらの蕾はソシンロウバイです。冬に黄色い蝋細工のような花を咲かせるロウバイ、先日伺ったお茶会では見事に黄色く膨らんだ蕾が白いつばきと共に花入に入っていましたが、目白庭園のロウバイが咲くにはまだ早いようでした。