11月になりました。茶道の世界では11月を「茶人の正月」と呼んだりします。昔の茶人は11月に炉を開くのに備えて竹垣を新しくしたり、襖や障子を張り替えたり、畳を替えたりしたそうです。稽古場の赤鳥庵でも炉のある場所の畳が交換されていました。管理事務所の方のお話では、11月に入って炉を使うのは私たちが初めてとのことでした。

 最初に炉を使ってお稽古をする「炉開き」の日は現代でも気持ちを新たにお稽古に臨みます。流水会ではこの日は毎年「松風伝古今」という横物の掛け軸をかけて、鶴首の花入に椿を入れていますが、今年は小菊と照り葉です。
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 実をいうと我が家のベランダで育てている椿の花つきが今年は遅れていて、炉開きには間に合わなかったのでした。自然のものですからそういうこともあるとはわかってはいたのですが、いざ椿がないとなると本当に困ります。この花に決めるまで稽古前日は約半日かけて花を探しまわりました。昔から「花は足で探すもの」と言われていますが、まさにそれを実感した炉開きでした。

 お稽古のお菓子は例年どおり「亥の子餅」をご用意しました。11月だけのお菓子です。

 さて、お稽古の方ですが、今月はここ赤鳥庵でお茶会を予定していますので、そのための稽古を中心にいたしました。炉での稽古が初めての方は運びの薄茶点前、お茶会でお点前をしてくださる方は棚をつけての薄茶・濃茶点前です。

 せっかくの 炉開きではありましたが、茶室内の写真もお菓子の写真も撮っていません。茶会のためのお稽古で精一杯でそんな余裕が微塵もなかったのだな、と後になってから気がつきました。皆様がとても熱心にお稽古に取り組んでくださったこともあり、一日じゅうほぼ途切れることなく稽古が続いていたせいもあるでしょう。

 ブログの読者の皆様には申し訳ありませんが、そうした事情ですのでお許しください。

 では最後にお庭の紹介です。この日は大変お天気が良く、少し色づき始めたお庭の木々も大変綺麗に見えました。
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 水面に映る影からも空気が澄んでいるのがよくわかると思います。
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 庭園の椿の蕾もふくらんできました。
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 赤鳥庵の前は杜鵑草が綺麗に咲いていました。やはり今年は少し花が遅いのかもしれませんね。
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