流水会目白だより

裏千家茶道 流水会のお稽古の様子などをご紹介しています。

2025年03月

今後の稽古予定、
4月9日(水)、4月23日(水)
5月7日(水)、5月21日(水)
6月11日(水)、6月18日(水)
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3月19日のお稽古ー釣釜、台目の点前

 春分の日の前日のお稽古は朝から雪が降りました。東京はあまり雪の降る気候ではありません。ひと冬に一回か二回でしょうか。その日がちょうどお稽古日に当たるのはとても珍しいことです。

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 この日のお稽古は十畳の茶室の方を釣釜にしました。天井のフックに鎖を掛けてその先に弦を付けた釜を吊るしてあります。いつもなら炉の真ん中にどっしりと座っている釜がゆらりゆらりと揺れる、これを春風にそよぐ姿と見る早春の趣向です。

 昔の方は面白いことを考えたものですね。実際にお点前をしてみると釜の揺れが思いの外気になったのではないかと思います。

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 八畳の茶室では風炉先屏風の位置を変えて台目のお点前をお稽古しました。茶室には台目畳と言って長さが普通の畳の四分の三という特殊なサイズの畳が使われていることがあります。 そうした茶室での点前にはいくつかの約束事がありますので、それをやってみました。

 こちらも滅多にやらないお稽古です。現代のお茶室は多くの場合八畳以上の広いお部屋であることが多く、台目畳を使っているような狭い茶室を見る機会はそれほど多くはないでしょう。それでも実際に古い時代に造られたお茶室を見てみると、台目畳を使っている茶室がよくあります。

 たとえば裏千家の今日庵、表千家の不審庵、武者小路千家の官休庵、藪内流の燕庵などの著名なお茶室はいずれも台目畳が使われています。せっかく台目のお稽古をしたのですから、皆様にも古くからある茶室の間取りや炉の切り方について、少しずつ学んでいっていただければと思います。

 さて、最後はお庭の様子をご紹介しましょう。まずはお庭の浮御堂から見た赤鳥庵です。

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  お庭の椿にも雪が積もっていました。

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 一番雪の強かった時間帯はこんな具合でした。

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 このまま積もるかと思われた雪もやがて雨になり、午後にはその雨も上がって日が差してきました。夕方には積もった雪が跡形もなく消えてしまったのには驚きました。

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 次回の稽古は四月九日としばらく間があきます。四月から目白庭園の管理会社が変わるため、三月末から四月始めの数日間は引き継ぎ期間として赤鳥庵が使えなくなるという事情があるためです。

 ちょうど桜の咲く頃にお稽古ができないのはとても残念ですが、どうかご了承ください。 

3月12日のお稽古ー行之行、台子平点前

 3月12日は特別稽古をいたしました。赤鳥庵の前には真っ赤な藪椿が咲いていました。あいにくお天気は曇り、午後から雨の予報が出ていました。

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 特別稽古では通常のお稽古ではなかなかできない科目、花月之式や奥伝の点前をお稽古しています。この日の科目は奥伝の一つ行之行台子と台子を使った濃茶、薄茶の平点前でした。

 いつもは二つの茶室を使って朝から夜までお稽古していますが、この日は八畳の茶室をお借りし、竹台子を据えて行いました。床の間の軸は「歩々是道場」お花は一休椿と雪柳です。

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  行之行というお点前は奥伝として最初に習うお点前ですが、初めての方はびっくりされるくらいやること、覚えることが沢山あります。特に炉でお稽古すると風炉の時よりさらに手数が増えて時間もかかります。

 この日は三名の方がこの点前をなさいましたが、皆さん足の痺れと戦いながらよく頑張って最後までお稽古してくださいました。点前をやり切る集中力、覚えようとする強い意志がないとできません。本当によくやってくださったと思います。

 実は点前の稽古は家に帰ってからも続きます。行之行には教本などはありませんから、家に帰ったらその日覚えたことをメモに書き残しておくよう、皆様にはお勧めしています。つまり教本の内容に相当する物を自分で作り上げていく必要があるのです。

 私が皆様にこの科目をお教えできるのは、自分もメモを書き、ノートにまとめて、繰り返し何度も手順をチェックし、間違いを修正し、アップデートし続けてきたからです。長くて手続きが煩雑だからと敬遠するのではなく、ぜひ挑戦してご自分のものにしていただければと思います。

 この日は許状をお持ちでない皆様や、まだこのお稽古を始めていない方向けに台子の平点前を致しました。台子平点前では尺立に入れた柄杓の出し入れ、火箸の扱い、建水を台子から下ろし、また台子にかざるタイミングなど、運びや小棚の平点前にはない手続きが幾つもあります。これに慣れることがいずれ奥伝を習う際に大いに役立ちます。

 濃茶点前をなさった方と薄茶点前をなさった方がありましたので、両方をご覧になられた方はその違い(かなり違うところがあります)がよくお分かりになったのでは、と思います。

 この日のお稽古はいつもとは違って夕方には終わりました。準備や片付けを皆様方がお手伝いくださるようになったおかげで、最近は私の負担もかなり減ってはきていますが、それでも久しぶりの台子稽古で帰る頃にはヘトヘトになりました。

  さて、この日は一部屋だけの利用でしたが、お隣は午前中が成人式の記念撮影、午後が結婚式の前撮り撮影でした。撮影の方は写真を撮るとさっと居なくなってしまうので、あまり気にしないようにはしているのですが、撮影中は結構騒がしいですね。

 しかもこの日は撮影の背景に廊下を使いたいから、ちょっと荷物を退けて欲しいと隣の部屋の私たちにまで注文を付けるカメラマンさんがあったり(大変珍しいことです、ちょっとムッとしました)で、集中力が途切れることもありました。

 それもまた修行のうち、と考えるべきなのでしょう。

 最後は恒例のお庭の紹介です。梅の花はそろそろ終わり、裏の芝生広場では寒緋桜が咲き出しました。鮮やかな色合いですね。留まっている鳥はヒヨドリでしょうか。

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 庭園のあちこちで、様々な色の椿が咲いていました。白は椿、真っ赤なのはボケですね。

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こちらは少し変わった形の花ですね。肥後椿でしょうか。

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 斑入りの花もありました。見事ですね。

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  池に飛来したアオサギです。何か池の中の獲物を狙っていました。

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 今月は稽古日が続きます。次回は来週19日の予定です。また少し寒くなるという予報ですがどうでしょうか。
 

3月の抽選会

 3月6日は5月分の赤鳥庵の予約抽選会でした。この日の抽選会には最後列で四月から交代で目白庭園を管理することになる新しい管理会社の方たちが見学されていました。片平園長が進行を務める抽選会は今回が最後なのだと気がつきました。5年間お疲れ様でした。

 参加者は35名ほど、前回、前々回に比べるとやや少なめですが、私の引いた番号は30番台でした。 このところ3ヶ月連続でクジ運がありません。

 諦めて自分の番が来るまで予約状況を示すホワイトボードを一度も見ずにいたのですが、いざ自分の番になってみると水曜日が全て空いているではありませんか! こういうこともあるのですね。今月は祝日と週末狙いの方が多かったようです。お陰で2回の稽古日は無事予約できて、花月の特別稽古用にもうあと半日分の予約もできました。 

 そして、このところ毎回の様に話が出ていたインターネット予約ですが、今の予定では6月、つまり8月の予約分から稼働を予定しているそうです。ネット予約は敷居が低くなる分、新規に利用希望者が増えるのではという気もしています。これまでのように月2回の稽古日が確保できるのか、全く不透明ですが、今から心配してどうにかなるものでもないですしね。

 さて、この日は曇り、雨は上がって昨日ほどの寒さではありませんでした。気がつけば庭園の梅は盛りを過ぎて、春の第二陣が到来しているようです。

 
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 黄色いつぼみは福寿草、しばらく前から咲いているそうですが、花を見るチャンスはお日様が出ている間だけのようです。

 
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 こちらの黄色い小さな花は山茱萸(サンシュユ)です。江戸時代に中国から渡来した樹木で、黄色い花を黄金に見立てたハルコガネバナという別名もあります。

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 真っ赤な木瓜(ボケ)も綺麗に咲いていました。木瓜は200以上もの品種があるそうですが、こちらの庭園で見られるのはこの真っ赤な花だけです。

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 芝生広場の寒緋桜もつぼみが膨らんできました。昨年の今頃はもう花が咲いていましたので、ことしはやや遅め、ですね。

 最後は藪椿です。
 
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  この日は庭園のあちこちに椿のつぼみを見かけました。今シーズンは椿の開花が全般的に遅れていますが、来週あたり一斉に咲き出しそうな気配です。楽しみですね。


 

3月5日のお稽古ー茶筅荘、茶碗荘

 3月5日は流水会の3月1回目のお稽古日でした。この日は朝から冷たい雨、前日の夜に雪が降り、赤鳥庵の前にはまだ雪が残っていました。
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 この日のお稽古は荘物(かざりもの)を致しました。私たちの学ぶ裏千家流には茶筅荘、茶入荘、茶碗荘、茶杓荘という四種類の荘物のお点前がありますが、この日は茶筅荘の薄茶、濃茶と茶碗荘のお稽古を致しました。

 荘物は目上の方は当日のお客様から頂いたお道具をお披露目する際に行う点前です。茶入荘、茶碗荘、茶杓荘の三つはそれぞれ茶入、茶碗、茶杓をお披露目する点前なのですが、 茶筅荘でお披露目するのはそれ以外のお道具、ということになります。

 茶筅荘でお披露目する代表的なお道具のひとつは水指です。「先生から頂いた水指をお披露目する」という形でお稽古を致しました。

 「茶筅をお披露目するのかと思いました」と仰る方が何人かありましたが、茶道で使う道具類の中で茶筅や柄杓、茶巾などは消耗品であり、お披露目の対象になる「お道具」には含まれません。面白いですね。

 茶筅荘や茶碗荘という点前を使う道具や手順だけから見ると、さほど難しくはないのですが、実際にやってみると、意外にスムーズにはいきません。この日初めて荘物の点前をお稽古したという方には興味深く感じて頂けたようでした。

 茶筅荘に慣れている方々には茶碗荘をお稽古していただきましたが、茶碗の扱いについ気を取られて、普段なら難なくできるはずの点前の手順を間違えてしまったり、かなり苦戦しておられました。初級の許状をお持ちの方なら誰でもお稽古できるお点前ではありますが、たかが荘物と侮るなかれ、です。

 実を言いますと、この日荘物をお稽古したのには理由がありました。それは、二つの茶室を終日使い続けることが出来なかったためです。運悪く、この日の午後は広い方の茶室を午後別の団体が先に予約していたので、私たちは午前中はふた部屋、午後はひと部屋、夜はふた部屋という形での利用になってしまいました。

 炉や釜の準備と片付け、茶道具の移動を昼と夕方の2回行わなければいけないことが予め分かっていたので、運びの平点前と同じく最小限の道具があればお稽古できる荘物になった、というわけでした。

 なかなか慌ただしい1日でしたが、思いの外皆様からも好評でしたので、これからも時々荘物のお稽古をしていこうと思います。

 最後はお庭の様子から。あちこちに残る雪、この日は結局夕方まで冷たい雨が降り続きました。

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 雨に濡れた梅の花も寒さで凍えているように見えました。

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2月26日のお稽古ー花月之式

 2月26日は花月之式をお稽古しました。流水会のお稽古は通常は午前中から夜まで、皆様の都合の良い時間帯に来ていただくというのが原則ですが、この日は五人一組で行う花月ということで午後一時にお集まりいただきました。

 いつもこのブログの写真は午前中に撮っているのですが、今日の写真はお昼過ぎ、ちょっと光線の加減も違いますね。正門を入ってすぐの梅の木もかなり開花が進んできました。
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 さて、花月は八畳のお部屋での稽古が原則ですので、この日は第二和室を使いました。床は「好日」の色紙、花は水仙と椿(胡蝶侘助)です。
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 今回は花月にある程度慣れた方々ばかりでしたので、まずは濃茶付花月からです。濃茶付花月は普通の花月(平花月)に濃茶が付いたもので、五人全員で濃茶を服した後、花月の形式で薄茶を三服点てます。

 と言ってもコロナ禍以降の習いで今は濃茶の飲み回しはせず、正客だけが濃茶を飲み、次客以降は飲む真似だけをして茶碗を送る形式でお稽古します。

 ここまではほぼ問題なくスムーズに進むのですが、案外ややこしいのがその後の薄茶三服の点前の方で、初花(最初に薄茶を点てる人)は「棚から棗を下ろして清める」、二の花(2番目に薄茶を点てる人)は「茶入と棗との位置の入れ替え」、三の花(最後に薄茶を点てる人)は「茶入、茶杓、仕覆を拝見に出す」というお仕事があります。

 続き薄茶の点前をご存知の方なら「ああそういうことか 」とお思いになられるでしょうけれど、今回参加された方の多くはまだ続き薄茶をお稽古したことがありません。一番戸惑うのはやはり「茶入と棗を入れ替える」というところです。

 そして花月のポイントである足の運び、特に後ろに下がる動きが皆様あまり得意ではありません。小習の稽古には「後ろに下がる」という動きはありませんので無理もないことですが、逆に言えば、ここで後ろに下がる動きをきちんと身につけておけば、上の点前習う時のハードルが少しだけ下がるとも言えます。

 花月には茶室の中での立ち座り、動き方の基本的な部分が組み込まれていますので、これを繰り返し行うことはとても良い基礎練習になります。流水会では薄茶の棚点前ができる方全てに花月の稽古への参加を呼びかけているのはそのためです。

 まだ花月に参加したことのない方も、一度ぜひチャレンジしていただければと思います。札を引いて花が当たったらお点前、月が当たったらお茶が飲める、ちょっとゲーム的な要素もあり、実際にやってみると案外楽しいお稽古なのですよ。

 この日は濃茶付きの後、平花月を2回やりました。私も最後の1回に参加したのですが、亭主が当たった上に初花と三の花が当たる、大当たりの回になってしまいました。面白いものです。

 最後は恒例のお庭の写真です。白梅が続々と咲き出しました。池の向こう側も、裏の芝生広場も梅の香りが漂っています。

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 この日は池の水も澄んで中までよく見えました。水温む春はもうそこまで来ています。

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