流水会では毎年夏に茶箱のお稽古をします。稽古は原則月二回ですが、年にたった二回ほどの稽古では茶箱の点前の習得はなかなか難しいので、今年は二回ほど余分に茶箱の特別稽古を入れました。
いつものお稽古は午前中から夜までですがこの日は午後だけの稽古です。午後一時の気温は33度。曇りがちではありますが時折日射しの除く蒸し暑いお天気で、駅から茶室まで着物で歩くとそれだけで目眩がしそうなほどの暑さでしたが、茶室はよく冷房が効いて無理なくお稽古が出来ました。
この日は雪点前がお二人、花点前と卯の花点前がお一人ずつでした。卯の花点前をなさった方は何と茶箱のお稽古自体が初めてでした。長い間お茶を習っていた方の中にも「茶箱はあまりやったことがない」とおっしゃる方は時々いらっしゃいます。
どの点前をいつ教えるかは、教える先生の裁量に任されています。茶箱は元々野点や旅先での点前を想定して作られているので、点前の格としては高くありませんから、教えるのを省略される先生もいらっしゃるのでしょうね。
ちなみに初めて茶箱の点前をなさった方の感想は「なんだかよくわからないままに終わった、でも面白かった」でした。最初はそれでいいと思います。卯の花点前のお稽古は「まず茶箱に慣れる」ことが大切なのですから。
流水会では卯の花のお稽古で茶箱に慣れたら花点前に進みます。実はこの日花点前をお稽古された方も「はじめての花点前」でした。卯の花との大きな違いは茶碗と棗と茶杓が仕覆に包まれていることです。そこで花点前のお稽古は「仕覆の扱いに慣れる」ことを主眼にしています。
仕覆の扱いを除けば、花点前での道具の配置は初歩で習う盆略点前にそっくりなので、それほど戸惑うことはありません。
雪点前はお盆を使わない茶箱点前です。道具立てがシンプルでとてもよく考えられた点前です。この点前を学んでおけば、色々な応用が効きます。この日雪点前をお稽古された皆様はかなり茶箱に慣れた方々でしたが、それでも途中で手が止まることがありました。茶箱の点前を滞りなく行うのは易しいようで意外に難しいものです。
なかなか茶箱点前が覚えられない、それはみんな一緒です。私もそうでした。
茶箱点前を理解するためには一つの点前だけをお稽古するのではなく、複数の茶箱点前をお稽古する必要がある、というのが私の持論です。そんなわけで次回28日は月点前のご用意もしておきます。やってみたいという方はぜひ挑戦してくださると嬉しいです。
最後にお庭の様子も少しだけご紹介します。今の時期は庭園にもあまり花がありませんが、秋に向かって生き物たちが活発に動いていました。
シオカラトンボでしょうか。この日も池の上には沢山のトンボがいました。
そしてお次は小さなトカゲです。
すばしっこく動き回るのでレンズに収めるのが大変でした。
花の少ない庭園にはこんな実が落ちていました。
庭園に柿の木があったなんて今まで全然気づいていなかったのでちょっとびっくりでした。