流水会目白だより

裏千家茶道 流水会のお稽古の様子などをご紹介しています。

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9月10日のお稽古、貴人点、続き薄茶

 9月になりました。とはいってもまだまだ暑い日が続いています。この日もお稽古前の時間には青空が見えていました(この後お天気が急変するのですが全く予想できませんでした)

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 茶室の床には利休様の掛軸、この日はSさんへの初級の許状のお渡しがありました。許状は「お点前を習ってもいいですよ」というお家元からのお許しが出た印であり、初級に場合は裏千家に正式に入門したという証でもあります。

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 Sさんはこの許状がいつ届くのか首を長くしてお待ちだったそうで、「実はChatGPTにどれくらいで来るのか聞いたんですよ」とおっしゃっていました。現代的ですね。

 裏千家からは「お茶のお稽古を始めたらすぐに初級の許状の申請手続きをしてください」と言われておりますが、流水会では「初心者の方がお稽古が続けられるかどうか」を見極めてから申請をしています。申請まで三ヶ月、許状が来るまで三ヶ月、初級の許状がお手元に届くには約半年ほどかかります。

 中には許状を受け取るとそのことに満足してお稽古に来なくなってしまう方もいらっしゃいますが、「初級の許状を持っている」ということは「裏千家茶道を習ったことがある」という程度の位置付けでお点前ができることの証明ではありませんので、どうか勘違いしないでいただきたいと思います。

 さて、この日は久しぶりに柄杓を持ってのお稽古です(八月は茶箱でしたので柄杓は持ちません)ので薄茶濃茶の平点前、貴人点、そして続き薄茶を致しました。

 貴人点は身分の高いお客様にお茶を差し上げるお点前で、茶碗は貴人台と呼ばれる白木の台に載せて扱います。

 また貴人点には「亭主がお客様に対して控える」という姿勢があります。ただ正座をするにではなく相手を敬うことを形で示すのがこの「控える」という姿勢です。逆に客である貴人の側もお茶を出してくれた亭主への心遣いを示す場面があります。

 もう一つの続き薄茶は濃茶に続けて薄茶を出す、という点前です。点前の流れを理解するには客が二人必要で、亭主は濃茶を一碗練った後薄茶を二服点てることになります。つまり一回のお稽古に普段の倍近い時間がかかるのです。

 そんな理由もあってなかなか続き薄茶の稽古はできないのですが、裏千家流の朝茶事や夜咄ではこの続き薄茶が約束事なので「やったことがない、知らない」という訳にはいきません。点前自体は濃茶平点前と薄茶平点前ですが、途中に問答があったり拝見物を出すタイミングが普段とは少し違ったり、薄茶器の位置が移動したりします。

 皆様にとっても珍しかったせいでしょうか。予定より多い四名の方がこのお稽古をされましたのでいつもよりたくさんお茶やお菓子を召し上がれたかと思います。

 この日は昼前に雨が降り出して、一時は豪雨になりました。雨樋から雨水が勢いよく流れ落ちる音を聞きながら「普段マンションの中では雨音が聞こえないのでとても新鮮です」とおっしゃる方がありました。雨の日には雨の日の風情があり、どんな日もお茶日和です。

 夕方以降は続々とお仕事帰りの方が来られました。見学にお見えになられた方もあって、大変慌ただしくなりました。一時期夜の時間帯は空いていましたが、今はかなり混んでいて、19時以降はこれ以上人数を増やすのが難しい状況です。

 流水会ではこれまで入会や見学の制限はしてこなかったのですが、19時以降の見学をしばらくの間(3ヶ月程度)中止しようと思います。当面の間ご見学希望の方は11時から18時までの受付といたします。

 さて、最後は恒例のお庭の様子です。庭園では萩の花が少しずつ咲き出しています。


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 秋の七草に一つでもあるハギはマメ科、カメラでアップにするとよく分かりますね。


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 この日は池の鯉も活発に泳いでいました。

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 最後は夜のお稽古を出て通用門から出たところ、雨もすっかり上がって明るい月が出ていました。

8月27日のお稽古ー茶箱付花月

 8月後半になっても残暑が衰える気配がありません。予想最高気温38度という天気予報にうんざりしながら目白庭園に着くと、赤鳥庵の前で蝶が羽を開いたり閉じたりしていました。

 フワリと飛び立ったかと思うと何故か私が持っていたビニールバッグに止まって一生懸命に口を伸ばして蜜を吸おうとしていました。バッグの中にはお稽古で使う茶花を入れていたので、その香りに惹かれたのかもしれません。

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 さて、この日の稽古は今月三回目の茶箱のお稽古でした。通常流水会の稽古は月に二回なのですが、茶箱の稽古は二回だけしかできないのではあまりに残念なので、三回目のお稽古をすることにしたのでした。ややイレギュラーなお稽古のため、茶室は一部屋のみの利用です。

 午前中に5名の方がお見えになられたので茶箱付花月をしました。「◯◯付花月」というのは何か(濃茶や炭、お香や軸かざりなど)にプラスして平花月が付いている場合が殆どなのですが、茶箱付花月は平たく言えば「茶箱の点前で花月をする」というもので、普通卯の花点前(拝見なし)で行います。

 薄茶の四服点というのは平花月と同じですが、茶箱には振出という菓子器が入っていますので、月の札を引いた方はお茶を飲む前に「振出から菓子を出して食べる」のが約束です。実際にやってみると振出の移動や総礼のタイミングなど、平花月と違う点も多く、戸惑いながらも賑やかで楽しいお稽古となりました。

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 茶箱付花月は十一代玄々斎の長女で十二代又玅斎の夫人であった真精院の好まれたものだそうです。女学校などで茶道教育に尽くされた方だったそうですから、明治時代の女子学生もこの茶箱付花月をよくお稽古していたのかもしれませんね。
 
 午後からは風炉を二箇所に増やして通常の茶箱点前のお稽古をしました。卯の花、雪、月、花と皆様がさまざまな茶箱点前をなさいました。この日の稽古が終わるとまた一年間茶箱とはお別れということもあってか、真剣に取り組まれる方が多く私も身が引き締まる思いでした。

 夕方には空も曇って、時折遠くで雷の鳴る音も聞こえてきましたので、夕立になるだろうかと窓の外の池の面を見ておりましたら丸い波紋が幾つも見えました。てっきり降り出したのかと思っていたら、それらは全てアメンボの仕業。結局は夜まで誰も雨に降られることなく、一日の稽古が終わりました。

 最後に恒例のお庭の様子です。庭園にはいくつもの風鈴が吊るされています。今年四月から庭園の管理会社が変わったので、これまでになかった行事や様々な試みが行われていてなかなか楽しいです。

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 日向は水の中でもやっぱり暑いのでしょうか。鯉も日影を好むようです。

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 写真では少分かりにくいですが、カリンの実が大きくなってきました。黄色く色づく頃にはきっと秋が来るでしょう。いや、早く来てほしいものです。

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8月20日のお稽古ー茶箱の点前

 猛烈な残暑が続いていますが、お盆休みが終わって電車も混雑してきました。この日は朝から電車が遅延して赤鳥庵への到着が30分ほど遅れてしまいました。

 いつもは私と夫が朝一番最初に到着してお稽古の準備を始めているのですが、この日は四名ほどの方が先に着いてお待ちでした。というのも、お稽古の時は水道に浄水フィルターをつけていて、それを持っている私たちがいないとお湯を沸かすこともできないのです。

 電車の遅延はたまにありますが、今のやり方では皆様をお待たせしてしまいます。この日は午前中のお稽古を希望されている方が多かったのでやきもきしながらお待ちの方もいらっしゃったことでしょう。少しやり方を変えられないか検討してみたいと思います。

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 さて、お稽古はまず黙とうからです。14日の未明に裏千家の鵬雲斎大宗匠がお亡くなりになられたことはニュースでも取り上げられておりましたが、突然の訃報でした。今年の一月に東京道場でのお稽古をはじめで元気にご挨拶されていたお姿を拝見しておりましたので、私もとても驚きました。

 とはいえ訃報に接して悲しみにくれるより、平常心を失わず稽古に励むことを大宗匠も望んでおられると思い、皆様にもそうお話ししてお稽古を始めました。

 この日も科目は茶箱です。皆様の進捗に応じて卯の花と花、雪、月の点前を致しました。

 久しぶりにお稽古に来てくださった方あり、お稽古の見学に来られた方あり、夏の旅行のお土産に地方の銘菓を買ってくださった方あり、夏風邪からようやく回復して元気になられた方あり、いつも以上に人数も多く賑やかなお稽古でした。

 茶箱の点前は好き嫌いが出やすい、好きな方は大好き、嫌いな方は大嫌いとおっしゃるのですが、今年は皆さん楽しんで茶箱の点前をお稽古されているようにお見受けしました。好きこそものの上手なれ、ということわざもあります。茶箱の点前が気に入られた方はぜひご自身でも茶箱をお求めになられると良いと思います。

 とは言っても茶道具の購入はなかなか自分一人では難しいと思います。実はお稽古で使っている茶箱のうち一つは私が若い頃に師匠に頼んで買ってきていただいた物、もう一つは夫が許状を取得した際に師匠からお祝いとしていただいた物で、こちらの茶箱の中身は私が選んで揃えましたが、全部揃うまで随分探した記憶があります。

 茶箱の箱は割と簡単に変えますがそれに応じた中身を全て揃えるには案外手間がかかります。流水会の皆様でお茶箱が欲しいという方はぜひご相談ください。
 
 最後は恒例のお庭の写真です。

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 まずは目白庭園の風鈴です。上の苔玉が見事ですね。

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 庭ではちょうど百日紅(さるすべり)の花盛りです。花の少ない夏の間はこの花が主役です。

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 池にはアオサギが来ていました。庭園のスタッフの方によれば、池にいる鯉の稚魚などを狙って食べているようです。アオサギは茶室の中からの方がよく見えました。室内からも写真を撮っておけばよかったですね。

 今月はもう一回、27日にも茶箱をお稽古する予定です。


ギャラリー
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