家でお茶を点てる、今回は家でお茶を点てるときに必ずしも必要ではないけれど、持っていると便利な道具、建水とお盆についてです。
まずは建水から。建水はご存知の通り点前の時、汚れた水やお湯を捨てるのに使う器です。用途からいっても「持っていて楽しい道具」ではありません。でも、持っていれば必ず使いたくなる道具でもあります。
建水には写真のように様々な素材や形状のものがあります。一つ買うならどんな建水が良いのでしょうか?
私のおすすめは写真中央の陶器の建水です。
家では盆略点前や茶箱など、お湯のみを使う点前が中心になります。水を捨てない点前で金属の建水を使うと建水が熱くて持てないことがあります。陶器の建水は熱の伝わり方が緩やかなのです。もちろん釜を使っての薄茶点前でも使えます。
曲げの建水(写真左)も陶器の建水と同じく断熱性は良いのですが、安価な稽古用の曲建水というのは最近あまり売られなくなりました。
稽古用の陶器の建水は2000円くらいからあります。色や柄は様々ですが、選ぶ時はお持ちの茶碗と「お揃い」にはしない方がいいです。はっきりと区別できるよう、別の色柄で選びましょう。
買う時の注意点として「伝来形」と書かれている建水は避けてください。これは「表千家不審庵伝来形」の省略です。裏千家を習っている私たちが使ってはいけないということはありませんが、わざわざ選ぶ必要もありません。
次はお盆です。
直径30センチ程度の丸いお盆がお家にあれば、わざわざ稽古用にお盆を求める必要はありませんが、一つ持っていると盆略点前だけでなく、茶箱の点前にも使えます。
裏千家の初歩のお点前で使うお盆には「山道盆」「花形盆」があります。写真左が山道盆、右が花形盆です。
山路盆は直径が9寸(約27センチです。花形盆は直径が一尺(約30センチ)とひと回り大きなお盆で、筋(かんな目)が入って少し凸凹しています。
これらのお盆の素材には「樹脂(プラスチック)製」と「木製」があります。木製は漆の塗り方に「掻き合わせ塗」と「真塗」の二種類があります。樹脂製なら2千円ぐらい、掻き合わせ塗は3千円くらいからあります。真塗は9千円以上とお値段はかなりお高くなります。
茶道専用なら少し大きい花形盆の方が使い勝手はいいと思います。とくに、家で茶箱の稽古がしてみたい方は花形盆があれば卯の花、花の両方に使えて便利です。お盆としてふだん使いもしたいということなら山道盆の方が向いています。
私は樹脂製で十分だと思いますが、山道盆の方は木目の見える掻き合わせ塗でも良いと思います。(掻き合わせ塗の花形盆は最近は見かけません)