流水会目白だより

裏千家茶道 流水会のお稽古の様子などをご紹介しています。

家でお茶を点てるには

今後の稽古予定
4月3日(水)午後と夜間
4月17日(水)
4月24日(水)第一和室のみ終日
5月8日(水)、5月22日(水)
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家でお茶を点てる 7 建水とお盆の選び方

 家でお茶を点てる、今回は家でお茶を点てるときに必ずしも必要ではないけれど、持っていると便利な道具、建水とお盆についてです。

 まずは建水から。建水はご存知の通り点前の時、汚れた水やお湯を捨てるのに使う器です。用途からいっても「持っていて楽しい道具」ではありません。でも、持っていれば必ず使いたくなる道具でもあります。

 建水には写真のように様々な素材や形状のものがあります。一つ買うならどんな建水が良いのでしょうか?
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 私のおすすめは写真中央の陶器の建水です。

 家では盆略点前や茶箱など、お湯のみを使う点前が中心になります。水を捨てない点前で金属の建水を使うと建水が熱くて持てないことがあります。陶器の建水は熱の伝わり方が緩やかなのです。もちろん釜を使っての薄茶点前でも使えます。

 曲げの建水(写真左)も陶器の建水と同じく断熱性は良いのですが、安価な稽古用の曲建水というのは最近あまり売られなくなりました。

 稽古用の陶器の建水は2000円くらいからあります。色や柄は様々ですが、選ぶ時はお持ちの茶碗と「お揃い」にはしない方がいいです。はっきりと区別できるよう、別の色柄で選びましょう。
 
 買う時の注意点として「伝来形」と書かれている建水は避けてください。これは「表千家不審庵伝来形」の省略です。裏千家を習っている私たちが使ってはいけないということはありませんが、わざわざ選ぶ必要もありません。

 次はお盆です。

 直径30センチ程度の丸いお盆がお家にあれば、わざわざ稽古用にお盆を求める必要はありませんが、一つ持っていると盆略点前だけでなく、茶箱の点前にも使えます。

 裏千家の初歩のお点前で使うお盆には「山道盆」「花形盆」があります。写真左が山道盆、右が花形盆です。
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 山路盆は直径が9寸(約27センチです。花形盆は直径が一尺(約30センチ)とひと回り大きなお盆で、筋(かんな目)が入って少し凸凹しています。

 これらのお盆の素材には「樹脂(プラスチック)製」と「木製」があります。木製は漆の塗り方に「掻き合わせ塗」と「真塗」の二種類があります。樹脂製なら2千円ぐらい、掻き合わせ塗は3千円くらいからあります。真塗は9千円以上とお値段はかなりお高くなります。

 茶道専用なら少し大きい花形盆の方が使い勝手はいいと思います。とくに、家で茶箱の稽古がしてみたい方は花形盆があれば卯の花、花の両方に使えて便利です。お盆としてふだん使いもしたいということなら山道盆の方が向いています。

 私は樹脂製で十分だと思いますが、山道盆の方は木目の見える掻き合わせ塗でも良いと思います。(掻き合わせ塗の花形盆は最近は見かけません)
 

家でお茶を点てる 6 盆略点前をやってみる

 茶碗に抹茶、茶筅、棗、茶巾、茶杓が揃ったら、ぜひ家でお点前をしてみましょう。裏千家で最初に習う「盆略点前」ならここまで説明したお道具があればできます。棗のない方はお茶の缶やタッパーをそのままお使いになっても良いです。

 お盆は丸いものでも、四角いものでも、お茶碗や棗がおける大きさならばなんでも構いません。建水はご自宅にあるボウルなどで代用してみましょう。

 今回はお盆の代わりにランチョンマット、建水の代わりにプラスチックのボウルを使ってみました。お湯はあらかじめ沸かしてポットに入れておきます。ポットがなければやかんでもいいですよ。
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 最初のセッティングはこんな感じです。普通の盆略点前のお道具と比べると一つ違いがあるのがお分かりでしょうか。濡れた茶巾をランチョンマットに置くのは具合が悪いので茶巾を置く場所に小皿を置いてあります。

 棗と茶杓を清めて、茶筅と茶巾を出したところです。
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 建水代わりのボウルはこんな感じて置いておきます。
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 茶碗にお茶を入れて点ててみました。
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 どうでしょうか。建水を置く場所を工夫すればテーブルの上でもできますね。皆さんも家にある器などを使って工夫してみてください。

 これでもいいけれど、せっかくやるのだからお盆や建水も揃えたいという方は、次回ご説明します。

家でお茶を点てる 5 茶碗の買い方

 今回は抹茶を点てるための茶碗のお話です。

 お茶を習っている皆様ならば、自分専用の茶碗を持ちたいとお考えの方もいらっしゃるでしょう。

 私がお勧めするのは、まずは一つ目の抹茶茶碗を買ってみる、それをじっくり使ってみることです。外出自粛中の今、インターネットを使って茶碗を調べてみる、気に入ったものがあれば通販で買ってみてはいかがでしょうか。

 ただし、インターネットで茶碗を買うときに気をつけたいのは「茶碗の大きさ」です。抹茶茶碗の中には「小茶碗」「野点茶碗」「茶箱用茶碗」という通常より一回り小さなサイズの茶碗があります。お値段が安いのでつい目が向きがちですが、こうした小さな茶碗は大人の大きな手には意外と薄茶が点てにくいのです。

 写真だけではわからないこともありますから、必ず買う前に必ずサイズを確認しましょう。抹茶茶碗の標準的な大きさは前回申し上げた通り、直径が約12センチ、高さが約8センチです。

 何を買うか、それは皆様自身のご判断で良いと思いますが、選ぶ上でのヒントをいくつか申し上げておきます。

・お値段はいくらぐらい?

 稽古茶碗は1200円くらいからあります。写真のようなタイプのお茶碗です。初心者の方が薄茶を点てる練習をするにはこれで十分です。
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 季節の花や風物などが入った茶碗は5000円くらいからです。上はキリがありませんのでお財布と相談してください。

・自分らしい茶碗を選びたい

 茶碗には十二支にちなんだものが数多くあります。ご自分の生まれ年の干支の茶碗などはいかがですか。「うさぎ年生まれ」なら「卯 茶碗」、で検索すれば見つかりますよ。

・「最初から楽茶碗」はアリ?

 千利休に始まる千家のお茶では「楽茶碗」が最高のものとされています。それなら最初から楽茶碗を買ってみたい、という方もいらっしゃるかもしれませんが、最初の一碗にはおすすめしません。通販で買うのに向いていない茶碗だからです。流水会の会員の方で「稽古用の楽茶碗が欲しい」という方は私にご相談ください。

 最後に私が家で使っている茶碗をご紹介します。この茶碗は戌年の干支茶碗ですが犬は茶碗の正面には描かれていません。お茶を全部飲み切ると中から犬が出てくる、そういう楽しさのある茶碗です。

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 皆様もご自身が楽しめる茶碗をぜひ探してみてください。
 

家でお茶を点てる 4 棗、茶杓、茶巾の選び方、買い方

 一連のお話しをする中で最初に「自宅でお茶を点てるために必要なのは、茶碗、抹茶、茶筅」とお話しました。お茶を点てる「だけ」ならこの三つがあれば何とかなります。

 でも、自宅で「お茶の稽古をしたい」となるとやはり抹茶茶碗や棗や茶杓、茶巾があった方が、気持ちが高まります。今回は思い切ってお稽古用に棗や茶杓、茶巾を買ってみようという方に向けてのアドバイスをまとめました。(茶碗についてはまた回を改めてお話しします)

・稽古用棗の選び方

 自宅でお茶を点てる、簡単な稽古で使うならまず中棗が一つあると良いでしょう。市販の稽古用中棗には「樹脂(プラスチック)製」「木乾製」「木製」があります。木乾というのは木の粉を樹脂で固めたもので、樹脂製と木製のちょうど中間といった感じのものです。

 次の写真の棗の中に一つだけが樹脂製なのですが、どれかおわかりでしょうか?

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 実際のところ、見た目だけではほとんど区別はつきません。一番の違いは「重さ」と「お値段」です。

 重さ 木製・木乾製<樹脂製
 値段 樹脂製<木乾製<木製

 樹脂(プラ)の棗は少し重いです。棗同士を比べれば重さの違いははっきりわかりますが、単独で使うときにはあまり気になりません。お値段の方ですが、樹脂製は800円くらいからありますが木製は最低でも8000円以上します。木乾製はその中間くらいです。

 初心者の方は柄や色(黒、赤、溜塗)など自分の好みとご予算で選んでください。初めて購入されるのでしたら季節を選ばない菊桐(高台寺蒔絵)やつぼつぼ蒔絵、唐松蒔絵、独楽棗などがおすすめです。

 中・上級者の方は裏千家のお家元好の棗をお求めになるのも良いでしょう。曙棗や源氏香棗の写しなどは一つお持ちになるとご自宅での稽古や抹茶タイムが楽しくなります。

 棗を使うとき、絶対に忘れないでいただきたいのは「棗は抹茶の保存容器ではない」ということです。棗に何日も抹茶をいれっぱなしにしたり、冷蔵庫に入れたりするのは禁物です。使いたいときに抹茶を入れ、使い終えたら保存容器に抹茶を戻してくださいね。

・茶杓、茶巾の選び方

 稽古用の茶杓は白竹、中節です。18〜20センチくらいの長さが標準です。16センチくらいのものは同じ白竹・中節でも茶箱用です。稽古用茶杓は一本500円から1000円くらいのお値段です。 

 茶巾は「御茶巾」と書かれた紙の袋に入って売っているものが多いようです。「大茶巾」「小茶巾」と書かれているものはサイズが違います。流水会の稽古で使っているのは「本麻茶巾」で、だいたい一枚が500円くらいのものです。

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 茶巾は一枚あれば十分です。使ったら毎回よく洗ってください。麻なのですぐに乾きます。

 茶巾と茶筅はサイズが小さいので通販で「メール便」などを指定するとインターネット通販などでも安い送料で購入できますよ。 

家でお茶を点てる 3 抹茶のこし方、保存の仕方

 今回は買ってきた抹茶を点てる前の下準備と、ご家庭での抹茶の保存についてのお話です。

 購入した抹茶は飲む前に一度こします。理屈はお菓子作りのときに小麦粉をふるうのと同じです。抹茶の粒子を細かくふんわりさせて、お湯を入れたときに馴染みやすくするためです。この作業をサボるとお茶がダマになりやすく、おいしいお茶が点てられません。
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 抹茶専用の「茶こし缶」という道具もあるのですが、ご自宅では「茶こし」と「タッパー」があれば十分です。茶こしは持ち手のあるものが便利です(百円ショップで買えます)。タッパーは抹茶の缶より一回り大きめの丸型がおすすめですが、なければ四角いものでも、ご自宅にある器ならなんでも構いません。
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 写真のようにタッパーには茶こしをせて、ここに抹茶をスプーンなどで入れてこしていきます。そのままでは抹茶が落ちませんからうえからスプーンでこするようにすると良いです。
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 こされた抹茶の粒子が細かくふんわりしているのがわかると思います。これで準備はOKです。タッパーに蓋をしたらお茶の銘柄や開封した日付を書いてはっておくと良いでしょう。私はマスキングテープを貼って、その上にサインペンで書いています。剥がしたり、また新たに貼って書き直したりもできて便利です。

 タッパー以外の容器を使う場合は、少し大きめのものを用意して抹茶をすべてこしてしまいましょう。こしたものは抹茶がもともと入っていた缶に入れておくと良いでしょう。抹茶をほかの容器に移すときは茶杓を使いますが、お持ちでない場合はアイスクリームやプリンを買ったときについてくるプラスチックスプーンなどで代用してみてください。

 こうしておけば、ちょっとお抹茶が飲みたいなと思った時は冷蔵庫からタッパー(または抹茶の缶)を出し、そこに入った抹茶を茶碗に入れて点てることができます。お茶が少なくなってきたり、少しダマができやすくなってきたな、と思ったらまた茶こしでこしてあげてください。

 また、一度封を切ってしまうと、抹茶の香りはどんどん落ちていきます。缶を開けたら早めに飲み切ることを心がけると良いと思います。

まとめ
 ・抹茶は一度こしてから使う
 ・密閉できる容器に入れる
 ・保管は冷蔵庫で

 でも、せっかく家で抹茶をいただくなら棗と茶杓を使ってもう少しきちんとやりたい。お稽古に近いことをしたい、ということもいらっしゃるでしょう。次回は棗と茶杓、茶巾の話です。

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