11月になりました。いよいよ炉のお稽古が始まります。この日も快晴、爽やかな青空です。

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 その年の11月に初めて炉を開いてお茶を点てることを炉開きと言います。昔の茶人にとって炉開きは一大イベントでした。畳を替えて炉を開くだけでなく、竹の生垣などを直したり、障子や襖を張り替え、その年にとれた新茶を初めて味わうのがこの時期の習わしだったそうです。

  まるでお正月を迎えるようですね。そうなのです、11月は「茶人の正月」と呼ばれることもあるくらい大切な時期なのです。

 現代で茶道を学ぶ私たちもせめて気持ちだけは「茶人の正月」にふさわしくありたいと思い、床の間には「好日」の色紙をかけました。
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  久しぶりの炉での点前ということで、科目は薄茶平点前。この日の稽古は午前中しかお茶室の予約が取れませんでしたのでお二人の方が平点前をした後は花月をしました。

 流水会では昨年の夏から平花月しかしてこなかったのですが、皆様が慣れてきたこともあって今回は濃茶付き花月です。といっても本来のように全員で濃茶をのみまわすことはせず、正客の方だけが濃茶を召し上がって、あとの四名は飲む真似だけにしました。

 その後続いて薄茶三服となりますが、濃茶付き花月で花が当たった方はお茶を点てる以外にも「棗を棚から下ろして清める」「茶入を棚にかざり、空いた場所に棗を移動する」「しまいつけをして道具を拝見に出す」などさまざまな仕事があり、平花月よりは時間もかかります。

 花月は引いた札によって座る順番や役割(お茶を点てる、お茶を飲む)が決まります。素早くかつ臨機応変に対応するというこの稽古は何度もやってみないとなかなか覚えられませんが、参加された皆様方が真剣に臨んでくださったおかげでなんとか時間内にお稽古が終わりました。

 午前中のみのお稽古を終えて慌ただしく外に出てみると、赤鳥庵前では秋明菊が満開でした。花が重いせいなのか茎が傾いてしまっているのは少し残念です。
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 次回の稽古は一週間後ですが、今度は夜だけのお稽古になります。