前日の冷たい雨もあがって、五月2回目の流水会のお稽古は爽やかな晴天に恵まれました。
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 流水会では皆様のお時間が集中して混雑ないように、予約の時点である程度配分をしてはいるのですが、中にはお稽古日の直前にならないと翌日の仕事のスケジュールが判明しないという方もいらっしゃいます。この日は夕方から夜間にかけてお稽古が集中してしまいました。

 とくに、夜の時間にお仕事を終えてからお稽古という方が多かったので、久しぶりにお稽古にきてくださったのにお稽古時間が十分に取れなかった方もいらして、大変申し訳なく思いました。

 実を言うと前回のお稽古までは逆に夜の時間がとても空いていて「お稽古に来られる方を新たに募集した方がいいだろうか」と考えていたくらいだったのです。皆様のお仕事の波を読むことまではなかなかできません。

 さて、この日の稽古では主に濃茶と薄茶の茶筅荘(ちゃせんかざり)をお稽古しました。前回から風炉に切り替わったばかりですので、まだまだ皆さんところどころお点前がギクシャクしている印象です。

 この日も部屋に入ってから畳の中央に座るのか、右に座るのかを迷う人が続出しました。この日お稽古した茶筅荘というお点前は平点前と微妙に手順に違いがあって、そこでも迷う人が多かったです。

 「どうして自分は間違えてばかりいるのだろう、なぜ覚えられないのだろう」と悩むこともあるかと思うのですが、茶道の点前というのは半分以上は「慣れ」です。あきらめずに繰り返しお稽古を続けていけばいずれ点前の手順や所作は自分のものになります。ただ、慣れるまでの時間は人によって個人差がありますので、他人とは比べない方が良いと思います。

 お茶のお稽古で大切なことは、自分の頭と体と心をフル稼働させて集中してお点前をすること、うまくいかないことがあっても「できなかった自分」を決して見捨てないこと、そして稽古の時間を自分なりに楽しむことであると私は考えています。

 「今日のお菓子は美味しかった」「茶花の名前を覚えた」「茶入の紐が結べた」「点てたお茶が美味しかったと言ってもらった」など「今日お稽古に来てよかったこと」を毎回一つで良いのでご自身の糧にしていただければ何よりです。

 さて、恒例のお庭の様子ですが、この日は紫陽花(アジサイ)と未央柳(ビヨウヤナギ)の花が咲いていました。

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 水色の額紫陽花の花は涼しげで爽やかです。

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 目白庭園には未央柳がたくさんあります。柳とついていますが柳の仲間ではありません。葉の形が柳に似ているというのが名前の由来だそうです。未央は中国にある未央宮という宮殿の名から取られています。未央宮の柳を見て玄宗皇帝が楊貴妃の眉毛を思い出したという唐時代の詩人白居易の「長恨歌」の一節が元になっているようです。

 こちらは池の様子です。
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 カルガモの雛たちも成長してずいぶんとカモらしい見た目になりました。でも、稽古中には相変わらず「キュキュキュキュキュ」という雛独特の声が何度も聞こえてきました。「ガァガァ」というアヒルによく似た声で鳴くようになるまでまだもう少しかかりそうですね。