10月になりました。昼間は汗ばむ陽気ですが朝夕はめっきり涼しくなりました。都内に発令されていた緊急事態宣言も解除されて少しほっとする今日このごろですが、 お茶の世界では10月といえば「中置」の季節です。
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 中置では風炉を点前畳の中央に据えて点前をいたします。手順としては常据(通常の点前畳の左側に風炉を据える置き方:「じょうずえ」と読みます)の風炉の点前と変わりませんが、水指、蓋置を置く場所が変わります。また、釜が正面にありますので風炉に柄杓を置くと柄がまっすぐ自分に向かって来るので少しお点前がしずらいと感じられる方もいらっしゃるかもしれませんね。

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 この日のお稽古では小板の中置での薄茶平点前と濃茶平点前をいたしました。「小板」というのは風炉の敷板の大きさのことです。小板があるということは当然「大板」という板もあり、次回は大板でお稽古をする予定です。

 お稽古に参加してくださる方の人数は少しずつ増えてきましたが、まだ以前ほど多くはありませんのでこの日も空いている時間を利用してI先生のご指導で私と夫の二人は奥伝の点前の一つ「大円草」のお稽古を致しました。

 これは大変時間のかかるお点前なので、昔はとにかく足が痛くて辛くてなかなか点前を覚えられなかったのですが、今は亡き師匠が本当に根気よくご指導くださったことを思い出します。時を経てみるとなかなかよく考えて作られたお点前であることをあらためて確認できました。

 初歩からお茶を始められた皆様にこの点前をお伝えする日のために、私たちも精進を続けなければと気持ちを新たにしました。

 さて、お庭の様子も少しご紹介しましょう。赤鳥庵のすぐ前では杜鵑草(ホトトギス)が咲きはじめていました。
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 斑点のある花を、鳥のホトトギスに見立てて名付けられたそうです。茶花としてもこの時期よく用いられるお花です。

 そしてこちらは庭園のススキ。こちらのススキは毎年とても見事な穂を付けます。ススキは株がどんどん広がるので家庭の庭には植えない方が良いと聞きますが、秋の青空にはススキは本当によく似合います。
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 花梨の実もずいぶんと大きくなってきました。これから黄色く色づいていきます。
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 次回のお稽古は20日です。庭園も少しずつ秋が深まっていくことでしょう。