昨年もコロナの影響で初風炉の稽古ができませんでした。今年も都内で緊急事態宣言続行中ということで、赤鳥庵でのお稽古は中止となしました。あまりに残念でしたので自宅の六畳で初風炉のしつらえで稽古をしましたのでご紹介します。
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 掛物はすいはつに短冊、書かれている言葉は「薫風」です。花は山紫陽花、花入は加茂川籠です。この花入は以前私が裏千家の青年部に所属していた頃、青年部の行事で作ったものです。この時期の花は二種入れるくらいが良いのですが、短冊に菖蒲の絵が描かれておりますので山紫陽花のみとしました。

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 二枚目の写真は濃茶点前の様子。この日は鑓鞘建水と駅鈴蓋置を使いました。鑓鞘建水は長建水の一種でご覧の通り深さがあって口が細く、胴にくびれのある建水です。こうした細長い建水を用いるときは中に蓋置が仕組めないので、柄杓の柄に蓋置を通して運び出します。

 ここで使っている蓋置きは駅鈴蓋置、金属製のドーナッツ型で振ると鈴のようにカラカラと音がするのですがこの音をさせないように扱います。

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 お菓子はきんとん。こちらは鶴屋吉信さんの「岩根つつじ」です。

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 こちらは薄茶点前。薄器は甲赤茶器(甲赤棗)を使っています。裏千家五代不休斎常叟好の茶器です。元々は茶箱用として好まれたと伝えられています。
 
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 こちらの茶碗は筆洗形の美濃伊賀茶碗です。筆洗は筆を洗う器のことで、元々は中国や朝鮮半島で使われていたそうですが、昔の茶人がこの形を茶碗に見立てたのでしょう。筆洗形の茶碗として有名なのが小堀遠州の好んだ「花橘」という信楽焼の茶碗です。

 むかしをは花橘のなかりせは何につけてか思ひ出でまし(花橘がなかったら何を手がかりに昔を思い出せるだろうか)

 という後拾遺和歌集の藤原高遠の歌にちなんで名付けられたという筆洗茶碗。タチバナの白い小さな花は5月から6月に咲く、ということでちょうど今ごろの時期。そんなことから筆洗茶碗を使ってみました。

 今年こそこうした設えをご用意して皆様と一緒にお稽古がしたかったのですが、本当に残念です。