11月になりました。空は快晴、朝は涼しいのを通り越して寒さを感じるほどです。(後で知ったのですが、東京はこの日の夜明け前に木枯らし1号が吹いたとのことでした)
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 11月に入ると炉の稽古が始まります。炉を開き釜を掛けると茶室の景色も変わります。これまで風炉が置かれていた点前畳は棚と水指だけのすっきりした姿になるのです。

 床の掛物は「松風伝古今」大徳寺の山口萬拙老師の筆です。松風というのは松の木に吹く風のことですがお茶の世界ではもう一つ別の意味もあり、そんなお話を皆様にいたしました。 
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 床の間に置かれた茶花も秋の草花から椿に変わります。最初の炉の稽古の日にちょうど良い具合に椿が咲いてくれるか、というのはお茶の先生にとっては心配事なのですが、今年も我が家の西王母(椿)が一輪タイミングよく蕾を膨らませてくれました。
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 私たちは月に二回のお稽古ですので炉開きといってもいつものお稽古と特段変わりないのですが、この日は亥子もちをいただきます。「亥」は陰陽五行では水の卦なので火事を防ぐという縁起をかついでのことだそうですが、いのししは子沢山なので子孫繁栄という意味もあります。

 お干菓子は吹寄せと小鳩の落雁をご用意しました。吹寄せというのは秋の落ち葉などが風で吹き集められた様にさまざまな形の菓子が入ったものを指します。コロナ対策として吹寄せと落雁は一人分ずつ小さな袋(菓子材料のTOMIZで買いました)に小分けしました。(もちろん小分けの際はポリ手袋をして菓子には直接手を触れないようにしています)
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 少しだけ手間をかけた分、皆様にも好評でほっといたしました。安心してお菓子やお茶を召し上がっていただけるようにすることは、今の時期の茶道の稽古にはとても大切なことだと思います。

 お稽古の方は更好棚で小習、濃茶平点前、薄茶平点前を中心にいたしました。午後からの上級組の皆さんは重ね茶碗、各服点など。夕方から夜にかけては学校や会社帰りの皆様とふたたび薄茶のお稽古をいたしました。夜は久しぶりにご見学の方もありました。

 毎回の例に漏れず、この日も窓は全開、茶室と廊下の間の戸も開け放って換気に気を使ってのお稽古だったのですが、午後には風が冷たく肩がひんやりするほどでしたので、扉は一部を開けるだけにして今シーズン初めての暖房を入れました。

 お稽古にいらした方から「オフィスも通勤電車も換気のため涼しいを通り越して寒いくらい」と伺いました。今年はいつもの年とは少し違った寒さ対策が必要になるかもしれませんね。

 では、いつものようにお庭の様子をご紹介しましょう。

 赤鳥庵の下、池のほとりから見た浮御堂の様子です。青い空が水面に映ってきれいですね。少しずつ紅葉も始まっています。
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 カルガモ達のいなくなった池の主役は錦鯉。水面から見える姿も色鮮やかです。
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 台湾ホトトギスはようやく満開になりました。今年は花が遅かったです。
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