7月もそろそろ終わろうとしているのに一向に梅雨が明けない東京です。今の赤鳥庵はちょうどこんな感じで濃い緑色に包まれています。
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 お稽古再開二回目となるこの日は桑子卓を出しました。この棚は毎年初風炉の五月ごろに出すことが多く、例年ならそろそろ茶箱の点前を始める時期ですが、今年は感染症の影響でしばらく稽古ができなかった上、長梅雨で気温も上がらないことから桑子卓となりました。

 桑子卓という棚は中板の位置が低い独特の形をしています。この棚を好んだのは裏千家四代の仙叟宗室と伝えられていますが、仙叟はこの棚を点前に使ったわけではなく、床に置いて天板に香炉、中板に花入を飾っていたようです。

 この棚を最初に点前に使ったのは表千家七代の如心斎だそうです。如心斎は裏千家八代又玄斎一燈の兄ですから、おそらくはその頃から裏千家でも点前用として用いられるようになったのでしょう。
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 写真のように天板には薄茶器、中板に水指、地板と中板の間の細い隙間にはお点前の最後に平建水を飾ります。この日は上級のは続き薄茶、それ以外の方はこの棚で洗い茶巾のお点前をしていただきました。

 利休居士の軸が掛かっているのはこの日初級の許状のお渡しがあったためです。随分前に許状は届いていたのですが、ようやくお渡しすることができてほっと致しました。

 また、この日は二月以来久しぶりにお顔を見せてくださった方もお二人ほどいらっしゃって、懐かしいような、いつもの日常が少しずつ戻ってきたような、そんな嬉しさもありました。

 さて、いつものようにお庭の様子も簡単にご紹介しておきましょう。今はお花が少ない時期のようですが、萩の花がチラホラと見られました。こちらの庭園には何種類かの萩がありますが、こちらは山萩でしょうか?
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 二週間前には生まれたばかりの小さな姿だったカルガモの雛たちもすくすくと育っています。写真のカルガモは姿はすっかり大人ですが、人間が近くによっても逃げる素振りすら見せませんでした。もしかしたら今年この庭園生まれのお兄さん(お姉さん)カルガモかもしれませんね。
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 次回の稽古は来週です。