久しぶりにお茶室でのお稽古です。

 水屋には消毒・洗浄用の用具が増えたり、茶巾やタオルをご用意する枚数が増えたり、お菓子器が銘々皿に変わったり、全員がマスクをしているという違いはありますが、茶室に座って皆様にご挨拶をする段になってみると、そこは今までと変わらない「お茶の時間」がありました。
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 稽古再開にあたって選んだ軸は「平常心是道」です。

 三月から六月まで丸々三ヶ月お稽古をお休みしている間に炉の季節が終わって風炉になりました。季節に合わせて夏の薄茶点前である葉蓋と洗い茶巾をお稽古しました。

 水指の蓋の代わりに植物の葉を使う葉蓋は裏千家十一代の玄々斎が七夕の茶会に籠花入の受け筒を水指に見立て、梶の葉を蓋にして用いたのが始まりです。お稽古では蕗の葉とアカメガシワの葉を使いました。

 洗い茶巾は水を張った平茶碗に茶巾を流して入れ、客の前で茶巾を絞って畳むという所作のある点前です。茶碗の水を建水に空けるときの音が涼やかですが、こちらのお点前は時間の関係でできなかった方もありましたので、次回もまたご用意しようと思います。

 感染症対策として、お菓子とお茶をいただく方は同時に一名のみ、お茶を飲み終えた茶碗はその場で未使用の茶碗と交換(一度使った茶碗は水屋に下げる)という形でのお稽古としました。

 伺ってみますと、この日お稽古にいらした皆様のほとんどが「誰かに点ててもらったお茶をいただくのは久しぶり」とのこと。そんな皆様の嬉しそうなお顔を拝見しているだけでも、お稽古が再開できてよかったと心から思えました。

 茶筅通しに戸惑ったり、柄杓の扱い方を忘れていたり、初風炉ならではのハプニングも色々とありましたが、皆様が思っていた以上にお点前を覚えていてくださったこと、私が想像している以上にお一人お一人が成長されていることに驚きを感じました。

 庭園の様子も少しだけご紹介しておきましょう。
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 雨が降って人も少ない庭園ですが、オニユリが咲いていました。そこだけぱっと明るくなったようです。
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 池にはいつものカルガモたち。生まれてまだ間もない小さなカモが時折出てきては水すましのようにツイーツイーと水面を駆け抜けていくのが見えました。4羽ほどいるようです。

 次回は二週間後、またこちらの茶室でお稽古するのが楽しみです。