一連のお話しをする中で最初に「自宅でお茶を点てるために必要なのは、茶碗、抹茶、茶筅」とお話しました。お茶を点てる「だけ」ならこの三つがあれば何とかなります。

 でも、自宅で「お茶の稽古をしたい」となるとやはり抹茶茶碗や棗や茶杓、茶巾があった方が、気持ちが高まります。今回は思い切ってお稽古用に棗や茶杓、茶巾を買ってみようという方に向けてのアドバイスをまとめました。(茶碗についてはまた回を改めてお話しします)

・稽古用棗の選び方

 自宅でお茶を点てる、簡単な稽古で使うならまず中棗が一つあると良いでしょう。市販の稽古用中棗には「樹脂(プラスチック)製」「木乾製」「木製」があります。木乾というのは木の粉を樹脂で固めたもので、樹脂製と木製のちょうど中間といった感じのものです。

 次の写真の棗の中に一つだけが樹脂製なのですが、どれかおわかりでしょうか?

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 実際のところ、見た目だけではほとんど区別はつきません。一番の違いは「重さ」と「お値段」です。

 重さ 木製・木乾製<樹脂製
 値段 樹脂製<木乾製<木製

 樹脂(プラ)の棗は少し重いです。棗同士を比べれば重さの違いははっきりわかりますが、単独で使うときにはあまり気になりません。お値段の方ですが、樹脂製は800円くらいからありますが木製は最低でも8000円以上します。木乾製はその中間くらいです。

 初心者の方は柄や色(黒、赤、溜塗)など自分の好みとご予算で選んでください。初めて購入されるのでしたら季節を選ばない菊桐(高台寺蒔絵)やつぼつぼ蒔絵、唐松蒔絵、独楽棗などがおすすめです。

 中・上級者の方は裏千家のお家元好の棗をお求めになるのも良いでしょう。曙棗や源氏香棗の写しなどは一つお持ちになるとご自宅での稽古や抹茶タイムが楽しくなります。

 棗を使うとき、絶対に忘れないでいただきたいのは「棗は抹茶の保存容器ではない」ということです。棗に何日も抹茶をいれっぱなしにしたり、冷蔵庫に入れたりするのは禁物です。使いたいときに抹茶を入れ、使い終えたら保存容器に抹茶を戻してくださいね。

・茶杓、茶巾の選び方

 稽古用の茶杓は白竹、中節です。18〜20センチくらいの長さが標準です。16センチくらいのものは同じ白竹・中節でも茶箱用です。稽古用茶杓は一本500円から1000円くらいのお値段です。 

 茶巾は「御茶巾」と書かれた紙の袋に入って売っているものが多いようです。「大茶巾」「小茶巾」と書かれているものはサイズが違います。流水会の稽古で使っているのは「本麻茶巾」で、だいたい一枚が500円くらいのものです。

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 茶巾は一枚あれば十分です。使ったら毎回よく洗ってください。麻なのですぐに乾きます。

 茶巾と茶筅はサイズが小さいので通販で「メール便」などを指定するとインターネット通販などでも安い送料で購入できますよ。