前回のお稽古の最後に「次回はお天気が良かったら五行棚を持ってきます」とI先生がおっしゃってくださったのですが、幸いにもこの日は青空の覗くお天気となりました。

  そんなわけで、中・上級の皆様はこの日は五行棚を使った中置の稽古をすることになりました。五行棚は裏千家十一代玄々斎の好まれた中置専用の棚です。棚と言えば普通は地板に水指を載せるのですが、この棚は風炉がすっぽり棚の地板に収まります。

 床はこんな感じです。宗全籠に秋のお花を入れました。十月は残花といって咲き残った花をたっぷりと入れます。この日はリンドウ、ホトトギスなどの他に朝採取してきたススキやタデ、ミゾソバなども入れてみました。
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 皆様が順番に濃茶の稽古をした後、薄茶は花月で行いました。五人一組で行う花月は、折据(おりすえ)と呼ばれる箱に入った札を引いて、お茶を立てる人、お茶をいただく人を決めます。花月は久しぶりでしたので、中には戸惑った方もいらしゃったようです。

 もう一つのお部屋では初心者のお稽古。こちらは常据えで更好棚を使った薄茶を中心にいたしました。

 前回見学に来られたUさんもこの日入会されました。十代の頃お稽古をされていて十五年以上のブランクを経ての再開とうかがって、この日は初心者のグループに入っていただきましたが「全然覚えていません」という言葉とは裏腹に、手がすすっと動くのはやはり昔のお稽古の賜物だと感心致しました。

 さて、今日は少しお菓子のご紹介をしてみようと思います。流水会のお稽古では上生菓子を一つと干菓子をいくつかご用意しています。この日の上生菓子はこちらです(写真は家に持ち帰ってから撮りました)。
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 みなさんからは「うさぎですか?」とのお声をいただきましたが、お店の方が付けた名前は「里の鹿」。たしかに鹿のツノのような模様が見えますね。

 こちらは白あんを求肥で包んだお菓子でしたが、懐紙の上に乗せるときにポロリと落としたり、菓子切りで食べるのに苦労された方もいらしたようです。お菓子を菓子皿から取り、人前で綺麗に食べられるようにするのもまた大切なお稽古の一つです。

 お干菓子の方ですが、この日はお持たせが多くたくさんの種類があったのですがその中から二つご紹介します。
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 右の栗の形のものは「きんとんヨーチ」という名前で京都の伊藤軒というところのお菓子。左は琥珀糖といって寒天と砂糖を煮溶かして固めて表面を乾燥させた日本の伝統的な和菓子です。

 洋風のお菓子ばかりがもてはやされる昨今ではありますが、和のお菓子も負けず劣らず見た目に楽しく美味しいものがたくさんあります。こうしたお菓子をいただけるのはお茶のお稽古の毎回の楽しみの一つと言えるのではないでしょうか。

 さて、最後にお庭の様子もご紹介しておきましょう。実はこの日はお稽古に来られる方が多かったこともあり、私はほとんど庭を見ておりませんが、夫がたくさん写真を撮っておいてくれました。

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 上は台湾ホトトギス、下は紀伊ジョウロウホトトギスだと思います。

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 赤鳥庵の前はいよいよシュウメイギクが満開です。 

 さて、次回は11月。いよいよ炉開き、楽しみです。