流水会は普段は目白庭園の赤鳥庵でお稽古していますが、裏千家には様々な茶室に応じた点前があり、中にはどうしても赤鳥庵での稽古が難しいものもあります。2月4日の日曜日に郊外の茶室をお借りして、台目と大炉の特別稽古を実施いたしました。

 参加者は五名。思ったより少なく私としては非常に残念だったのですが、人数が少ない分一人一人密度の濃いお稽古ができました。

 こちらが今回お稽古した台目席です。三畳台目・下座床のお茶室で、点前畳の勝手付側には色紙窓があり、中柱に袖壁がつき、仕付棚も付いています。客の座る場所の後ろに三畳の控えの間があるという構造になっていました。小間ですので炉縁は木地。こちらはお茶室の備品の桑の炉縁です。

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 天井は平天井、化粧屋根裏、点前座が落天井になっている典型的な三段構成です。この構成ですと、お正客の座る位置は床前になりますね。普段あまり見慣れない小間の茶室の構造を簡単にご説明してから、初炭点前と濃茶のお稽古をしました。

 台目のお点前の稽古は一般には広間に台目棚を置いたり、運びでしたりすることが多いかと思います。私もこれまでそうした稽古しかしたことがなかったのですが、実際に小間の茶室で点前をしてみると様々な発見があります。

 まず、手元が大変暗い。床には軸が見えるように電気の照明がありましたが、茶室の照明は窓から入る日光だけで、炉の方を向いて点前をすると、炉中も茶碗の中も大変暗いのです。炭手前の湿し灰がきれいにまけたのかどうか、お抹茶がどれくらい茶碗に入っているのか、柄杓で茶碗に入れた湯の加減などを目で見て確かめることはできません。

 でも、その一方で客座から点前座を見ると、水指や茶入、茶筅などが逆光でシルエットになって浮かび上がります。釜のたぎる松風の音、立ち上る湯気にも風情があり「この茶室にいると、いかにもお茶をやっているという気がします」と皆様からもお声が上がりました。

 午後からは六畳の茶室で大炉を使って初炭と絞り茶巾です。大炉は裏千家十一代の玄々斎宗匠が田舎家の囲炉裏を見て発案された、普通の炉より一回り大きな炉ですが、逆勝手といって点前畳の左側に炉を切るのが約束です。京都の裏千家では厳寒の時期のみこの大炉を開くのだそうです。


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 炉に下火を入れる前に、交代で炭を置く稽古を何回かした後に本番の炭手前をしました。こちらの部屋は照明もあって明るかったので、各人が置いた炭の具合もよく見えました。筒茶碗を使っての絞り茶巾はほぼ一年ぶり、それを逆勝手でやるのですからなかなか大変でしたが、皆様熱心にお稽古してくださいました。

 なかなかできない台目席の稽古と大炉の稽古、両方を1日で行うのはちょっと欲張り過ぎではないかとも思いましたが、この稽古は私自身もとても勉強になりました。皆様とうまくタイミングが合うようでしたら、来年もぜひチャレンジしてみたいと思います。