朝から「体調を崩したのでお休みしたい」という連絡がある一方、「半休が取れたので久しぶりにお稽古に行きたい」というご連絡をいただいたりと、慌ただしい日でした。

 さて、流水会では毎年7月末から8月は茶箱のお稽古と決まっています。茶箱はとくに夏のものというわけではなく、一年中いつでもできるお点前です。8月にお稽古する理由は主に暑さ対策のためです。

 裏千家には現在6種類の茶箱手前が伝わっています。十一代玄々斎が考案された「雪点前」「月点前」「花点前」「卯の花点前」、十四代淡々斎が考案された「和敬点前」「色紙点前」です。

 茶箱点前をお稽古する方が最初に習うのは卯の花点前です。箱から道具を出す、箱に道具を仕舞うという以外は薄茶の平点前とよく似ています。ただし「茶筅を茶筅筒から取り出す」「茶巾を茶巾筒から出してたたむ」「古帛紗を出して広げる」 などの平点前にない扱いがいくつかあり、まずはこれに慣れるのが茶箱の第一歩です。

 この日は実際、初めて茶箱に取り組まれた方がいらっしゃったのですが、意外なほどスムーズにお稽古は進みました。しばらく茶箱はやっていなかったという方にも、卯の花点前をしていただきましたが、こちらもスラスラとお点前が進みました。薄茶の平点前の基礎がしっかりできていたからだと思います。

 卯の花に慣れたら、花点前、雪点前、月点前とお稽古を進めていくのですが、これらの3つの点前では茶碗、茶杓、棗が全てお仕覆に入ります。つまり、お茶を点てる前に仕覆を脱がせ、仕舞う時にはまた仕覆に入れるという所作が加わってきます。さらに色紙点になると、御所籠と呼ばれる籠を使い、中の道具組そのものが他の茶箱とは少し違ってきます。

 流水会には入門者からベテランまで様々な方がいらっしゃいますので、 この日一日で卯の花から色紙点まで5種類の点前をすることになり、大変忙しかったので写真は撮りませんでした。下の写真は色紙点の様子ですが、写真は昨年のアルバムから探してきました。

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 毎年毎年、同じ稽古を繰り返しているようで、点前座から見える景色は少しずつ広がっていきます。茶箱の点前もこう見えてなかなか奥深いものがあると私は思いますが、皆さんはいかがでしょうか。