春が急ぎ足でやってきました。暖かくなって皆様もスケジュールがいろいろ入ってきているのでしょうか。この日は稽古当日になって「時間の変更をお願いします」という方が多く、午前中が一番空いていて午後三時過ぎにお稽古に来られる方が集中しました。珍しいことです。
それでもお休みせずにお稽古に来ていただけるのは嬉しいことです。よく「継続は力なり」といいますが茶道の場合も同様で休まずお稽古をすることが点前の上達、ひいてはその奥にある茶道の精神への理解の深まりにつながります。
さて、春風が吹き始めると釣釜の季節。この日は鎖と弦を持ち出して釣釜にしてみました。茶釜は茶室の中でも存在感のある茶道具ですが、その釜を天井から鎖で吊す釣釜は茶室にいつもと違った雰囲気をもたらしてくれます。

私たちの学ぶ裏千家流では一年のうち3月から4月上旬にかけての時期だけ釣釜を使います。春風に吹かれてゆらーりゆらーりと釜の揺れる様は今の季節だけのものです。
使った釜は風炉用の筒釜、稽古場である赤鳥庵の備品です。姿は申し分ないのですが元々風炉用なので炉用の柄杓を入れるには少し釜の口が小さくて、お点前は少しやりにくかったかもしれません。
釣釜では主に薄茶平点前の稽古をしました。何名かの方には流し点の点前をお稽古していただきました。流し点は炉釜の正面を向いて行うちょっと変わった点前で、お客様は一人だけ。亭主が客とが向かいあって行う点前なので「お見合い点前」という別名もあります。
絞り茶巾などと同じく薄茶の応用点前なのですが、茶道具の位置が通常の薄茶平点前とはがらりと変わるので、やってみるとよい頭の訓練にもなります。
もう一つの茶室ではいつも通り炉釜を五徳に置いて台天目のお稽古をしました。台天目は塗りものの台にのせた天目茶碗の扱い方を学ぶお稽古です。
天目茶碗は鎌倉時代に宋に渡った禅宗の僧侶たちが抹茶の飲み方とともに日本に伝えたものです。天目山という場所に禅宗の修行道場のようなお寺があり、そこから「天目茶碗」と呼ばれるようになりました。
茶道の稽古は茶を点てて飲むだけではなく、道具や点前を通じて文化や歴史を知ることができます。本を読んで勉強するのとは違って、点前という実践、茶道具という実物に触れながら古の時代に思いを巡らせるというのは楽しいものです。
稽古の中に自分なりの楽しみを見つけることが、茶道を続けていくコツかもしれません。
最後に恒例のお庭の様子もご紹介しておきましょう。先日、東京・靖国神社のソメイヨシノの標準木が開花したというニュースがありましたが、なんと目白庭園の枝垂れ桜も咲き始めていました。このまま気温の高い日が続くと次回のお稽古はお花見ができるくらいまで開花が進むかも。


鮮やかな赤色の花は木瓜(ボケ)、ピンク色の愛らしい花は乙女椿です。


いよいよ本格的に花の季節到来です。皆様お忙しい時期かと思いますがぜひ来週もお稽古にいらしてくださいね。
それでもお休みせずにお稽古に来ていただけるのは嬉しいことです。よく「継続は力なり」といいますが茶道の場合も同様で休まずお稽古をすることが点前の上達、ひいてはその奥にある茶道の精神への理解の深まりにつながります。
さて、春風が吹き始めると釣釜の季節。この日は鎖と弦を持ち出して釣釜にしてみました。茶釜は茶室の中でも存在感のある茶道具ですが、その釜を天井から鎖で吊す釣釜は茶室にいつもと違った雰囲気をもたらしてくれます。

私たちの学ぶ裏千家流では一年のうち3月から4月上旬にかけての時期だけ釣釜を使います。春風に吹かれてゆらーりゆらーりと釜の揺れる様は今の季節だけのものです。
使った釜は風炉用の筒釜、稽古場である赤鳥庵の備品です。姿は申し分ないのですが元々風炉用なので炉用の柄杓を入れるには少し釜の口が小さくて、お点前は少しやりにくかったかもしれません。
釣釜では主に薄茶平点前の稽古をしました。何名かの方には流し点の点前をお稽古していただきました。流し点は炉釜の正面を向いて行うちょっと変わった点前で、お客様は一人だけ。亭主が客とが向かいあって行う点前なので「お見合い点前」という別名もあります。
絞り茶巾などと同じく薄茶の応用点前なのですが、茶道具の位置が通常の薄茶平点前とはがらりと変わるので、やってみるとよい頭の訓練にもなります。
もう一つの茶室ではいつも通り炉釜を五徳に置いて台天目のお稽古をしました。台天目は塗りものの台にのせた天目茶碗の扱い方を学ぶお稽古です。
天目茶碗は鎌倉時代に宋に渡った禅宗の僧侶たちが抹茶の飲み方とともに日本に伝えたものです。天目山という場所に禅宗の修行道場のようなお寺があり、そこから「天目茶碗」と呼ばれるようになりました。
茶道の稽古は茶を点てて飲むだけではなく、道具や点前を通じて文化や歴史を知ることができます。本を読んで勉強するのとは違って、点前という実践、茶道具という実物に触れながら古の時代に思いを巡らせるというのは楽しいものです。
稽古の中に自分なりの楽しみを見つけることが、茶道を続けていくコツかもしれません。
最後に恒例のお庭の様子もご紹介しておきましょう。先日、東京・靖国神社のソメイヨシノの標準木が開花したというニュースがありましたが、なんと目白庭園の枝垂れ桜も咲き始めていました。このまま気温の高い日が続くと次回のお稽古はお花見ができるくらいまで開花が進むかも。


鮮やかな赤色の花は木瓜(ボケ)、ピンク色の愛らしい花は乙女椿です。


いよいよ本格的に花の季節到来です。皆様お忙しい時期かと思いますがぜひ来週もお稽古にいらしてくださいね。